夢が夢で無くなる不確定な未来へ


2022.3.3。大好きな7人が、大きな決断を世界に発信した日。

そのニュースは瞬く間に日本、世界へと発信されてエンタメ界を震撼させた。


TravisJapan。通称トラジャ。ジャニーズ事務所の7人組アイドル。ダンスを武器に音楽業界、アイドル戦乱時代を生き抜くグループ。

今やその人気は高く、メディアにも良く取り上げられてその名を徐々に徐々に日本へと知らしめている。それでもまだ、CDデビューを果たしていない、所謂ジャニーズJrと呼ばれる彼らは、苦節10年、数多の苦難を乗り越えてきた。


ようやく軌道に乗ってきた、と誰もが思っていた最中、重大発表と称して彼等が伝えてきたメッセージは、誰一人として予想していなかったに違いない。


3.3の21時、自身のInstagram LIVEにて発表された『国内無期限活動休止、及び武者修行の為渡米』

つまり、日本での仕事を全て休止して、アメリカに渡るという事。


あまりに衝撃だった。リーダーの宮近くんがわざわざ紙に書いてまで発表したその事実が、私の心に重くのしかかった。


何故、どうして、それ以外考えられなかった。

その考えが頭を支配して、メンバーの言葉が頭に入ってこない。

聞けば、歌、ダンス、語学、色々なスキルを磨いてくるのだという。

向上心がある、というのは良い事だ。人は向上心無くして良い物を作り上げる事は出来ない。


だが、それは本当に今必要なのか?

今でなくてはいけないものなのか?

それは、私達の目の届く所では叶わないことなのか?


ダンスを武器に、というのはTravisJapanが結成された時からメンバーが変わろうとも守られ続けてきた信念だ。それは、結成当初からのファンでなくてもTravisJapanを知る人なら誰もが知っている事実である。

それに付随してYouTubeでチャンネルを持たせて頂く位、彼らのダンスは唯一無二の武器である。

それは、分かってるのだ。

そして、それを磨く為に渡米するのだ、と言う事も理解は出来る。

理解は出来るが、納得は出来ない。

ましてや彼等にしか出来ない、と思っていたそのチャンネルすら、一時他のJrに託す、というのだ。納得なんか行く筈がない。

それが正直な気持ちだ。


重大発表と銘打った大事なお知らせ、は思っていた以上のものだった。

私も始まる前はツアーかなぁ、それとも別の何か?もしくはデビューしちゃったり???なんて呑気に構えていたものだ。

まさか、まさか。こんなお知らせを聞くことになるなんて。


涙が出た。遠い地に行ってしまう7人に。

いつ帰ってくるかも分からない、彼らに。

本当に帰ってくるかも分からない、未来に。


2年前から話が上がっていたこの決定事項に腹が立った。何故、今なんだ。その前に日本でやる事がまだまだあるだろう、と。

2年もの間、彼らにデビューするチャンスは無かったのか?デビューしてからでもその武者修行は遅くはないのではないか?


たった1枚のCDを出すか、出さないか。

それだけでこのジャニーズという大きな組織では活動から何から変わってくるのだ。


彼らはしきりに『離れてても応援して欲しい』『ずっと心は繋がってる』と言う。

確かに空は繋がっている。一つ大きな空の下、私達は同じ様に呼吸をして、生きている。


でもそうじゃないんだよ。私達は、ステージで輝く君たちを見たくて、君たちをずっと応援しているんだよ。

7人の歌声、7人のダンスを生で感じて、あぁ、この人達を応援してて良かった、と実感したいんだよ。


各媒体で沢山の言葉を紡いで、彼等は私達へ愛を届けてくれている。それはこれからも大きくは変わらない、と言う。

だけど、会えない。彼等がステージ上でスポットライトを浴びて、歓声を浴びて、キラキラ輝いている姿を、見る事が出来ない。


それが何よりもツラい。

彼らに直接声を届けて、そのパフォーマンスに拍手を送ることが出来ない事が、寂しい。


彼らは『今よりもっといい景色を見たいし、見せたい』と言っていた。

いい景色、とは何なんだろうと考えた。

アイドルというお仕事は、沢山のファンや関係者に歌って踊る場を作ってもらって、それをパフォーマンスで返すお仕事だと、私は思う。

私達はより良い舞台、ステージを沢山のファンで提供して彼らのパフォーマンスを見て、感じて、そこに声援を送ることで元気や勇気を貰っている。

それはコンサートだけじゃなくて、例えば雑誌の総選挙のようなものだったり、TV出演へのリクエストだったり、多種多様なものだ。

私の思う良い景色、とはそういった媒体やコンサートで彼らの姿を見る事、が自分の中での良い景色だと思っている。

そして、そう思うファンは沢山いるんじゃないか、とも思う。

彼らが沢山テレビに出て、雑誌の表紙なんかを飾ったりして、毎日メディアに引っ張りだこで見ない日はないな~、と思う。ライブに行って生のパフォーマンスを浴びて、今日も良かった。格好良かった、TravisJapan、最高だよね、と思う。それが一つの良い景色の形なんじゃないかと。

TravisJapanにとっても、沢山のファンに応援してもらって、沢山の人に知ってもらって、そのパフォーマンスを、自分達の武器を、最大限に見てもらう事が、良い景色なのではないか、と思っていた。


しかし国内での活動休止を余儀なくする、ということは今までのファン、これから獲得する筈だったであろう未来のファンを、少なからず手放す事になるのではないか、と私は思う。


なんて言ったって彼らはまだデビュー前の道半ばなはずだ。デビュー、という一つの目標の為にファンと一丸になって頑張ってきたのではないのか、と。

あれだけしきりにデビューします!と言ってたではないか。

寅年はTravisJapanの年にします!と言ってたではないか、と。


そのリスクを負ってまで、彼らは渡米という道を選んだ。その選択をするまでに、彼等も沢山悩んだだろう。凄い決断であるのは間違いないのだ。

それは、分かっている。が、それは今で良かったのだろうか。私は未だ疑問である。


私達の声援だけでは足りなかった?

私達の愛だけでは、充分でなかった?

先日のJr大賞、TravisJapanは大きな結果を残した。各部門の上位を総ナメし、花形部門である恋人にしたいランキングに全員TOP10入りという快挙も果たした。

それだけ沢山の人間が、彼等を応援しているのだ。目に見えて分かる結果にすら、彼等には届かなかったのだろうか……と悲しさすら募った。


それでも彼等は、彼等が決めた道を進むのだろう。良くも悪くも、結果が出るのはまだ先の未来の話だ。


夢のHollywood、憧れのドリームステージ。

彼等はそれを夢で終わらせない為に、その夢を掴み取る為に、駆け上がっていくのだという。

その選択肢が、今回の渡米だった。


日本を離れ、異国の地で7人、やれる事を最大限やってスキルアップして帰ってくる、約束します。彼等はそう言った。


何度も何度も『後悔はさせない。離れていても心は一つ。寂しい思いをさせるかもしれないけど、俺たちは前向きだから、応援してて』と、7人が口を揃えて言っていた。

不安が無いはずがないだろう。私達も不安だが、彼等だって不安なはずだ。

なら、彼等の言う良い景色、夢が夢で無くなる瞬間を、いつかこの目で見てみたいと思う。

7人が7人でいてくれるなら、頑張って欲しいとも思う。


それでもまだ、やるせなさは残るばかり。

心から背中を押してあげられる日が、早く来て欲しいと祈る事しか出来ない。


そして、ただ今は7人が健やかでいて欲しい、と願うばかりである。